Letter 転写調節:ショウジョウバエDrosophila melanogaster胚の発生制御遺伝子でみられるRNAポリメラーゼの停止 2007年12月1日 Nature Genetics 39, 12 doi: 10.1038/ng.2007.26 遺伝子の活性化における重要な律速段階は、RNAポリメラーゼII(Pol II)のコアプロモーターへの動員であると広く考えられている。遺伝子へと動員されたPol IIには、その機能をいったん停止するものがある。このPol IIの停止(Pol II stalling)については複数の例によって十分に裏づけられているが、この停止が発生において果たす一般的な役割については明らかにされてはいない。ショウジョウバエ胚を材料にPol IIのクロマチン免疫沈降マイクロアレイ解析を行ったところ、Pol IIの結合様式には、活性型(転写単位全体にわたって均一に結合)、結合しない型、停止型(転写開始部位に結合)という3種類の異なるパターンが存在することが特定された。約10%をしめる停止型遺伝子の注目すべき特徴は、発生の制御に関係する遺伝子が極めて多いことであった。そしてこれらの発生制御遺伝子は胚発生の後期に、その活性化が抑制されているか、停止されている。これらの結果から、Pol IIが停止状態にあることが、発生過程における遺伝子活性の、迅速な時空的変化を可能にしているのではないかと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る