Letter

動脈瘤:平滑筋αアクチン遺伝子(ACTA2)の突然変異は胸部大動脈瘤および解離の原因となる

Nature Genetics 39, 12 doi: 10.1038/ng.2007.6

血管平滑筋細胞(SMC)の主な機能は血管の収縮であり、それによって血圧や血流を調節している。このSMCの収縮を引き起こす力は、(ACTA2によってコードされている)SMCのαアクチンと、(MYH11にコードされている)βミオシン重鎖とが繰り返し相互作用することで生み出される。本論文では、ACTA2のミスセンス突然変異が遺伝性上行大動脈瘤/解離(TAAD)のうち14%の発症の原因であることを示す。ACTA2の突然変異に関してヘテロ接合性である患者由来のSMCのアクチンフィラメントの構造解析および免疫蛍光解析を行ったところ、これらの突然変異によってアクチンフィラメントの重合が妨害されていることが示唆され、その結果SMCの収縮が弱まることが予想された。患者の大動脈組織には、大動脈中膜の変性、中膜SMCの限局性の異常増殖(過形成)および錯綜配列、そして中膜SMCの増殖に起因する脈管の脈管(vasa vasorum)内での狭窄動脈がみられた。本研究結果は、すでに報告されている家族性TAADを引き起こすMYH11の突然変異からの推察と同様、上行大動脈が構造上の完全性を維持するためには、SMCの収縮が重要であることを示唆するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度