Letter

発生:Fgf10は肝膵管系のパターン形成と分化を調節する

Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1961

器官形成期には、前腸内胚葉から多種多様な細胞が生じる。すなわち、肝細胞、膵細胞、胆嚢細胞をはじめとする肝膵系に加えて、これらの臓器どうしをつなぎまた腸へと通じさせる肝膵管系の上皮細胞が出現する。しかし、肝膵管と臓器との形態上の境界決定に関与する機構はほとんど知られていない。本論文では、間充組織からのFgf10によるシグナル伝達が、肝膵管と当該臓器との境界を厳密に定めていることを示す。ゼブラフィッシュのfgf10遺伝子に変異をもつ個体では、肝膵管の上皮が重度の異形成を示し、また肝膵管系や隣接している腸の細胞が肝細胞や膵細胞へと誤って分化する。さらに、Fgf10はまた、近くに位置する膵臓や肝臓がそれぞれ肝細胞や膵細胞へと分化することのないように機能している。本研究成果は、前腸上皮の多分化能細胞、ひいては肝膵管の多分化能細胞がどのようにして臓器となるべく運命決定されるかについての謎を解明するヒントになるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度