Letter グルタミン鎖:Atxn1lの重複はポリグルタミンが伸長したアタキシン1の内在性複合体への組み込みを減少させることによってSCA1の神経病変を抑制する 2007年3月1日 Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1977 脊髄小脳失調症1型(SCA1)は優性遺伝する神経変性疾患で、アタキシン1(ATXN1)のグルタミン鎖の伸長によって引き起こされる。SCA1の発症機序に関する研究は、伸長したグルタミン鎖がATXN1の正常な活性を変化させることで毒性を引き起こすというモデルを支持している。我々は、ATXN1の毒性に影響を与える内在性の相互作用を調べるために、アタキシン1様遺伝子座(Atxn1l、別名Boat。SCA1の高度に保存されたパラログである)を選択的に重複させたマウスを作製し、SCA1の病変におけるこのタンパク質の役割を検討した。SCA1患者に認められる選択的な神経変性を再現するノックインマウスモデルを使って、Atxn1lレベルの上昇の影響を調べた。すると、Capicua(CIC)を含んだAtxn1の内在性複合体において、Atxn1lが変異型Atxn1と置き換わることにより、神経病変を抑制することが見いだされた。我々の結果は、SCA1の選択的な神経病変が、ATXN1のもつ中心的な機能においてその活性が変化することで引き起こされるということを支持し、それを遺伝学的に証明している。また、神経変性疾患の発症メカニズムを理解するうえで、変異している遺伝子のパラログを研究することが重要であることを強調するものである。 Full text PDF 目次へ戻る