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癌:DNMT1の完全な不活性化によってヒトの癌細胞においては分裂期細胞死(mitotic catastrophe)が引き起こされる

Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1982

DNA(シトシン-5-)-メチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)は、CpGのメチル化維持に関与する主要な酵素であり、マウスにおいては胚発生と体細胞の生存に必要とされることがこれまでの研究から示されている。しかし、ヒトの癌細胞におけるDNMT1の役割には大いに論議の余地がある。本研究では、相同組み換えによって、DNMT1のコンディショナル対立遺伝子(触媒ドメインをコードするいくつかのエキソンの両側にloxP部位がある)をもつヒトの結腸直腸癌細胞株HCT116を作製した。この対立遺伝子をCreリコンビナーゼを介して破壊すると、ゲノムのCpG-CpG対のおよそ20%のへミメチル化が引き起こされ、さらにG2/Mチェックポイントの活性化によって、細胞周期がG2期で停止した状態になる。細胞はこの停止状態から次第に逃れていくが、重度の有糸分裂異常を示し、分裂期あるいは四倍体のG1期での停止後に、細胞死する。したがって我々の結果は、DNMT1がヒトの癌細胞においてDNAのメチル化パターンを正確に維持するために必要であり、その増殖と生存に不可欠であることを示すものである。

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