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肺がん:Kras遺伝子の調節因子とエクソン4Aが肺がんでの変異の特異性を決めている

Nature Genetics 40, 10 doi: 10.1038/ng.211

Kras遺伝子は肺がんで最も頻繁に変異が見つかるras遺伝子ファミリーの一員であるが、それに反してHras遺伝子の変異は皮膚のような層状をなした上皮細胞由来の腫瘍に一般的である。Hras遺伝子をノックインしたマウスのモデルを使い、肺におけるKras遺伝子の変異と皮膚腫瘍におけるHras遺伝子の変異の特異性が、標的とされるras遺伝子の局所的な調節因子によって決定されていることを証明した。Kras遺伝子の4Aアイソフォームはマウスの発育には必須ではないが、in vivoにおける肺の発がんと、野生型(WT)Kras遺伝子の変異対立遺伝子に対する阻害作用において最も重要なアイソフォームである。Kras4Aタンパク質の発現は、正常な肺の上皮細胞の細胞群の一部で検出されるが、肺がんではきわめて低いレベルであったことから、がんの促進には必要ないだろうと示唆される。2つのKrasタンパク質のアイソフォームは異なった翻訳後修飾を受ける。だから、これらの発見は、ヒトがんにおける発がん性Krasタンパク質の活性を阻止することでがんを治療しようとする戦略にとって重要な意味をもっている。

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