Letter

クエン酸回路:色素性網膜炎におけるクレブス回路のイソクエン酸脱水素酵素の役割についての洞察

Nature Genetics 40, 10 doi: 10.1038/ng.223

網膜において桿体および錘体の光受容体の遺伝的な神経組織の退行が起こる色素性網膜炎の2家系について報告する。ファミリー内の罹患したメンバーは、IDH3B遺伝子の機能欠損型変異のホモ接合体であった。IDH3Bは、クエン酸回路でイソクエン酸からα-ケトグルタル酸への酸化を触媒すると考えられているNADに特異的なイソクエン酸脱水素酵素(NAD-IDH、すなわちIDH3)のβサブユニットをコードする。罹患者の細胞ではNAD-IDH活性がかなり減少しており、NADに対するKmとして300倍も上昇していたが、同じ反応を触媒する酵素であるNADPに特異的なイソクエン酸脱水素酵素(NADP-IDH、すなわちIDH2)は罹患者でも正常で、色素性網膜炎以外は酵素の欠損に関連した健康上の問題はみられなかった。これらの発見は、網膜外ではミトコンドリアのNAD-IDHよりはむしろNADP-IDHが、クエン酸回路でこの反応を主として触媒し、網膜ではNAD-IDHがとりわけ必要であるという仮説を支持するものである。

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