Letter エピジェネティクス:リシン脱メチル化酵素LSD1(KDM1)はDNA全体のメチル化の維持に必要である 2009年1月1日 Nature Genetics 41, 1 doi: 10.1038/ng.268 ヒストンのメチル化とDNAのメチル化はクロマチンの構造と遺伝子の活性を協調的に制御している。この2つのシステムがどのように互いに連携しているかは明らかにされていない。この論文では、ヒストンH3のリシン4(H3K4)とリシン9(H3K9)を脱メチル化することがわかっているリシン特異的脱メチル化酵素1(LSD1、KMD1やAOF2としても知られている)の生物学的機能を研究した。本論文では、LSD1が、マウスの胚発生では原腸形成に必要であることを示す。とりわけ、胚性幹細胞(ES細胞)でLSD1をコードしている遺伝子(すなわち、Aof2)を標的にした欠失では、だんだんにDNAのメチル化が失われていく。この減少は、DNAメチル基転移酵素1(Dnmt1)タンパク質の安定性が減った結果、この酵素が減少することと関連している。Dnmt1タンパク質はin vivoでメチル化され、このメチル化はLSD1がないと増強される。さらに、Dnmt1はSet7/9(KMT7としても知られている)によりメチル化され、in vitroではLSD1により脱メチル化される。この発見により、LSD1はDnmt1を脱メチル化して安定化することを示唆しており、こうしてヒストンとDNAのメチル化システムの間にあるこれまで知られていなかった機構上のつながりが示された。 Full text PDF 目次へ戻る