Letter 静脈奇形:アンジオポエチン受容体遺伝子TEKの体細胞変異によって弧発性および多発性の散発性静脈奇形が引き起こされる 2009年1月1日 Nature Genetics 41, 1 doi: 10.1038/ng.272 内皮細胞特異的なチロシンキナーゼ受容体であるTIE2(TEKによってコードされる)の生殖細胞系列でのアミノ酸置換変異によって、粘膜皮膚静脈奇形(VMCM)として知られる、稀な遺伝性静脈異常が引き起こされる。我々は、切除したVMCMにおいてTIE2機能を喪失させる体細胞性の「セカンドヒット(2番目の変異)」を同定し、また、このような局在性の組織特異的な変異が、VMCMよりはるかに高頻度の散発性静脈奇形の病因に役割を担っていないかどうかを検討した。散発性静脈奇形のみられる57人のうち28人(49.1%)の病変部位でTEKの体細胞変異を8つ同定したが、これらの変異は、被験者の血液や対照組織にはみられなかった。これらの体細胞変異には、L914F置換を引き起こす高頻度にみられる変異1つと、シスに存在する2つの変異が複数含まれるが、そのすべての変異が、in vitroでリガンド非依存的にTIE2の過剰リン酸化を引き起こした。ヒト臍帯静脈内皮細胞に過剰発現させた場合、L914F変異体は、野生型TIE2や遺伝性の一般的な変異体R849Wとは異なり、局在異常とリガンドに対する応答異常を示したことから、これらの変異は異なる効果をもつことが示唆される。多発性の散発性静脈奇形のみられる2人にも同じ変異が存在することから、離れた部位の異常な内皮細胞は共通の細胞から生じたことが示唆される。これらのデータは、散発性疾患が、稀な遺伝性疾患を引き起こす遺伝子の体細胞性の変化で説明できる可能性を示し、また、TIE2経路が静脈奇形の治療標的となる可能性を示すものである。 Full text PDF 目次へ戻る