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黒色腫:黒色腫のチロシンキノーム解析からERBB4遺伝子に繰り返して起こる変異が明らかになる

Nature Genetics 41, 10 doi: 10.1038/ng.438

チロシンのリン酸化は腫瘍形成の背後に潜むシグナル系として重要である。転移性の皮膚黒色腫において、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)遺伝子ファミリーの変異解析を行った。まず、19種類のPTKについて解析し、キナーゼドメインに影響する体細胞変異30個を同定した。続いて、黒色腫の検体79を使って、これら19種類のPTK遺伝子のコード領域について体細胞変異を調べた。黒色腫の個体19%にERBB4遺伝子の変異が見つかり、黒色腫の個体10%には他の2つのキナーゼ(FLT1およびPTK2B遺伝子)の変異が見つかった。共通してみられる変異の中で最も多かったPTK遺伝子であるERBB4について、7つのミスセンス変異を調べ、キナーゼ活性と腫瘍形性能が増大していることが確認された。変異したERBB4を発現している黒色腫細胞において、shRNAによりERBB4を抑制したり、ERBB4を阻害するラパチニブで治療を行ったりすると、細胞増殖が低下した。これらの研究から、各個人の黒色腫で変異を起こしたキナーゼを特異的に標的とした個別化治療への糸口が開かれる。

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