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再生:AtrTrp53の複合欠失後の成体マウスにおける組織再生遅延と合成致死性

Nature Genetics 41, 10 doi: 10.1038/ng.441

Trp53の機能喪失は、DNA損傷あるいはDNA修復遺伝子の変異から生じる組織維持や発生における異常を回復させることが、これまでの研究で示されている。本論文では、ゲノム維持に必須の調節因子Atrのモザイク欠失が引き起こす組織変性が、p53欠損によって大幅に悪化することを報告する。Atrp53の複合欠損(Trp53-/-AtrmKO)によって、成体マウスでは、毛包再生における重度の異常、局所炎症(Mac1+Gr1+浸潤細胞)、腸上皮の破壊促進および合成致死性が引き起こされた。Trp53-/-AtrmKOマウスの組織再生は、DNA損傷を高レベルで維持する細胞の蓄積を特徴としていた。そのうえ、Trp53-/-AtrmKOの皮膚では、皮膚前駆細胞および分化した皮膚細胞の両方において、このような損傷を受けた細胞の頻度が上昇していることは、残りのATR発現細胞からの代償性の組織再生が遅延することと一致していた。まとめると、我々の結果は、成体マウスにおけるAtrTrp53の複合欠損によって、高度に損傷を受けた細胞の蓄積が引き起こされ、これが、結果として、損傷を受けていない前駆細胞からの再生の障壁となることを示すものである。

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