Article

パーキンソン病と遺伝子ネットワーク:αシヌクレインは、PARK9とマンガン毒性が含まれる多彩かつ高度に保存された相互作用ネットワークの一部に属している

Nature Genetics 41, 3 doi: 10.1038/ng.300

パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、多系統萎縮症は、シヌクレイン病と総称され、その発症にはさまざまな遺伝要因や環境要因が関連している。これらのうち最もよく研究されている疾患はPDである。αシヌクレイン(α-syn)は家族性PDおよび孤発性PDの両方の発病において重要な役割を果たすが、他の疾病素因とα-synを関連づける証拠は多くはない。本論文では、α-synと、PD関連遺伝子であるATP13A2PARK9としても知られている)の酵母のオーソログとの間の強い遺伝子間相互作用を報告する。α-synを過剰発現することで引き起こされる、PDの動物モデルやニューロンモデルにおけるドーパミン作動性ニューロンの欠損は、PARK9の共発現によって回避された。さらに、線虫においてそのATP13A2オーソログ遺伝子の発現を抑制すると(ノックダウン)、α-synのミスフォールディング(誤った構造への折りたたみ)が促進された。これらの結果は、α-synとそれ以外のPD感受性遺伝子座との、直接的な機能上のつながりを示すものである。ここで、マンガン曝露は、PDおよびPD類似症候群に関連がある環境リスク因子である。そして、 マンガン毒性の影響が、酵母のPARK9オーソログによって有効に回避されることが見つかったことから、PDの原因遺伝子(α-syn、PARK9)とその環境リスク因子(PARK9、マンガン)との関連性が明らかになった。最後に、酵母のスクリーニングから見つかった多彩な機能をもつ新たな遺伝子群は、動物における、α-synに起因するニューロンの欠損の強力な修飾因子群であることが判明した。このことは、α-synと相互作用する、多彩かつ高度に保存されたネットワークが形成されていることを示すものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度