Letter 生殖機能:家族性低ゴナドトロピン性腺機能低下症のTAC3およびTACR3の変異から明らかになった、ニューロキニンBが生殖機能の中枢性調節において果たす重要な役割 2009年3月1日 Nature Genetics 41, 3 doi: 10.1038/ng.306 性腺から性ステロイドがタイミングよく分泌されることが、思春期の開始、思春期後の二次性徴の維持、周産期における男性外性器の正常な発達に不可欠である。性ステロイドが正常に産生されるには、下垂体から分泌されるゴナドトロピンの黄体ホルモンと卵胞刺激ホルモンを必要とする。本論文では、重度の先天性のゴナドトロピン欠損や思春期性成熟の異常を示す患者のいる4つの家系で、患者が例外なく、TAC3(ニューロキニンBをコードしている)、およびその受容体であるTACR3(NK3Rをコードしている)の、ホモ接合性の機能喪失型変異をもつことを報告する。ニューロキニンBは、サブスタンスPを含むタキキニンファミリータンパク質の1つで、視床下部のニューロンで高度に発現していることが知られている。視床下部ニューロンでは、先ごろ同定されたゴナドトロピン放出ホルモンの分泌の調節因子であるキスペプチンの発現もみられる。これらの知見は、ニューロキニンBがヒトの生殖機能に対する、重要な中枢性調節因子であることを意味するものであり、また、ヒトの生殖や性ホルモン放出に関係する疾患を、薬物によりコントロールするという新しい治療法を示唆するものである。 Full text PDF 目次へ戻る