Article 骨格異常:FGF9の細胞外マトリックスへの親和性と組織内分布はその単量体・二量体平衡によって決まる 2009年3月1日 Nature Genetics 41, 3 doi: 10.1038/ng.316 自然に誘発された優性変異マウス、Elbow knee synostosis(肘・膝関節癒合、Eks)は、肘関節および膝関節の骨癒合、さらに頭蓋骨縫合線の早期癒合を生じる。本論文では、Eks変異の原因がFgf9遺伝子のミスセンス変異であることを同定した。Eksマウスにおける関節と頭蓋骨縫合の骨癒合がどのように発症するのかを詳細に調べたところ、発生過程の当該組織でFGF9シグナル伝達を制御する重要な分子メカニズムが明らかになった。Eks変異によって、FGF9タンパク質のホモ二量体形成が阻害され、また、単量体FGF9では二量体を形成している場合と比べてヘパリンに対する結合親和性が低くなっていた。このような生化学的機能の異常によって、変異型FGF9タンパク質(FGF9Eks)は、発生過程の組織における拡散能が増大していた。その結果、異所性のFGF9シグナル伝達と、関節および頭蓋骨縫合線の発生異常が起こる。今回の研究成果から、発生過程の組織におけるFGF9シグナルの作用範囲は、FGF9のホモ二量体形成能と、FGF9の細胞外マトリックスヘパラン硫酸プロテオグリカンに対する親和性によって決まるのではないかと示唆された。 Full text PDF 目次へ戻る