Pierre Robinシークエンス(PRS)は口蓋裂の重要なサブグループである。我々は、何種類かの証拠により、PRSにおける17q24遺伝子座の重要性を報告する。それらの証拠とは、連鎖解析の結果、SOX9遺伝子座上流1.06-1.23Mbにわたる転座切断点のクラスター解析、SOX9遺伝子座のセントロメア側約1.5Mbおよびテロメア側約1.5Mb両方の微小な欠失などである。さらに、進化的に保存されたDNA領域の点突然変異のヘテロ接合体が、発生途上にin vitroでもin vivoでもエンハンサーの特徴を示すことを明らかにした。このエンハンサーはセントロメア側の切断点クラスターにあり、微小欠失内にマップしている。この変異はin vitroでエンハンサー機能を無効にし、野生型の配列に比べて、転写因子MSX1の結合を損なう。発生途上のマウスの下顎では、微小な欠失に囲まれた3Mbの領域でSox9を発現している細胞で、領域に特異的なクロマチンの脱凝縮がみられた。PRSの症例のなかには、非常に大きな領域にわたるシス調節因子の断絶によりもたらされる発生途上のSOX9の誤った発現が原因となっていると考えられる。