Letter アレルギー:マウスFlg遺伝子におけるホモ接合のフレームシフト変異は経皮性アレルゲンのプライミング効果の増強を促進する 2009年5月14日 Nature Genetics 41, 5 doi: 10.1038/ng.358 FLG(フィラグリン)遺伝子の機能喪失性変異は、半優性遺伝角化症である尋常性魚鱗癬の原因であり、また、アトピー性皮膚炎(湿疹)、アトピー性喘息、その他のアレルギー性表現型の主要な遺伝的リスクとなる。いくつかの頻度の低いFLGヌル対立遺伝子がヨーロッパ人やアジア人に認められ、ヨーロッパではその累積頻度はおよそ9%である。本論文では、自然発症の変異マウスflaky tail(ft)において、マウスFlg遺伝子内に、ヒトにおける頻度の高いFLG変異と類似の一塩基欠失変異(5303delA)がみられることについて報告する。本論文では、この変異のホモ接合マウスにアレルゲンを局所感作すると、アレルゲン特異的な抗体応答の進行とともに、皮膚への炎症性浸潤と皮膚アレルゲンのプライミング効果の増強が引き起こされることを示す。これらのデータは、flaky tailがフィラグリン異常の有用なモデルであることを実証し、また、機能が障害された表皮バリアを介した抗原の移入が、ヒトのフィラグリン関連アトピー性疾患にともなうIgE値の上昇や皮膚での炎症開始の原因となる主要な機構であるという仮説の実験的な証拠となる。 Full text PDF 目次へ戻る