Technical Report

トランスポゾン:新規の高活性Sleeping Beautyトランスポザーゼの分子進化によって脊椎動物における強力で安定した遺伝子導入が可能になる

Nature Genetics 41, 6 doi: 10.1038/ng.343

Sleeping Beauty(SB)トランスポゾンは、脊椎動物における遺伝子導入において有望な技術基盤となっているが、その遺伝子挿入効率は、初代培養細胞におけるボトルネックとなる可能性がある。哺乳類細胞での大規模な遺伝学的スクリーニングによって、第一世代のトランスポザーゼと比較した場合に約100倍効率が高い高活性トランスポザーゼ(SB100X)が得られた。SB100Xは、造血幹・前駆細胞が多く含まれるヒトCD34+細胞の35〜50%への安定した遺伝子導入を支えた。遺伝子標識されたCD34+細胞の免疫不全マウスへの移植によって、長期の生着と造血系の再構築が引き起こされた。さらに、SB100Xはin vivoのマウス肝臓での転位による第IX因子の生理的な発現レベルの持続(>1年)を支えた。最終的に、SB100Xはマウス接合子への前核マイクロインジェクションによって45%の安定した遺伝子組換え頻度を再現できた。この新規に開発されたトランスポザーゼは、ウイルスを用いない遺伝子送達後に今までにないほど安定した遺伝子導入効率が得られ、これはウイルスベクターに挿入することで得られる安定した導入効率と比較しても遜色がなく、また、機能的ゲノム学や遺伝子治療での広範囲にわたる応用の促進が期待されるものである。

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