Article レトロトランスポゾン:ショウジョウバエの体細胞におけるレトロトランスポゾンサイレンシングとテロメアの完全性はシトシン-5メチルトランスフェラーゼDNMT2に依存している 2009年6月11日 Nature Genetics 41, 6 doi: 10.1038/ng.360 この論文では、シトシン-5メチルトランスフェラーゼDNMT2がショウジョウバエの体細胞でレトロトランスポゾンサイレンシングを制御していることを示す。ショウジョウバエの胚発生の初期には、DNMT2に依存して顕著なDNAのメチル化が起こる。まだら模様をつくるP[w+]因子の挿入をもったMt2(Dnmt2)遺伝子のヌル変異により、white遺伝子のサイレンシングを抑制すると、DNMT2の機能上の標的が同定できる。この酵素は、初期胚のレトロトランスポゾンのDNAメチル化を制御し、SUV4-20メチルトランスフェラーゼによって触媒されるヒストンH4K20のトリメチル化を開始する。体細胞ではDNMT2の喪失により、レトロトランスポゾンでのH4K20のトリメチル化が除去され、レトロトランスポゾンサイレンシングの維持が損なわれている。Dnmt2とSuv4-20のヌル遺伝子型では、レトロトランスポゾンは体細胞で強く発現しているが、生殖細胞系列ではそうではなく、レトロトランスポゾンサイレンシングはRNAi機構に依存している。DNMT2は染色体2Rと3Rのテロメアの完全性も制御している。Dnmt2ヌル変異株では、欠損をもったInvader4因子のサブテロメアクラスターの一定の喪失がみられた。これらの結果を総合すると、ショウジョウバエのレトロトランスポゾンサイレンシングとテロメアの完全性において、これまでは認識されなかったDNAメチル化の役割が明らかになった。 Full text PDF 目次へ戻る