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結核菌の進化:結核菌に対するヒトT細胞のエピトープは進化的に高度に保存されている

Nature Genetics 42, 6 doi: 10.1038/ng.590

結核菌はヒトの偏性病原菌で数十年にわたり個々の宿主に居続けることができる。結核菌群(MTBC)の全世界にわたる多様な株のうち代表的な21株と主要な6つの系統のゲノムについて、イルミナ次世代DNA塩基配列解析装置を用いて、40〜90倍のカバレッジで塩基配列決定した。そして、これらのゲノムの塩基配列を基にゲノム全域にわたる系統樹を作成した。塩基配列の比較解析からは、予想通り、MTBCの必須遺伝子が、非必須遺伝子に比べて、進化的によりよく保存されていることが示された。しかしながら、実験的に確認された491個のヒトT細胞エピトープの大部分には、塩基配列の差異が少ししかなく、同義コドンに対する非同義コドンの比が必須遺伝子と非必須遺伝子におけるよりも低いことが注目された。これらの結果はMTBCの99株の16個の抗原を含む追加のデータセットにおいても確認された。したがって、これらのエピトープに作用した強力な負の選択(浄化選択)があったことが示され、MTBCはヒトT細胞による認識が利点となっていることが示唆される。

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