Letter 軟部組織肉腫:サブタイプ特異的なゲノム変化により軟部組織肉腫治療の新しい標的を決める 2010年8月1日 Nature Genetics 42, 8 doi: 10.1038/ng.619 軟部組織肉腫は、米国では年間およそ10,700件の診断、3,800件の死亡があるが、組織学的に著しい多様性があり、50以上の認識されるサブタイプがある。しかし、そのゲノム変化についての知識は限られたものである。ここでは7種のサブタイプを含む207サンプルについて、DNA配列、コピー数、mRNA発現についての総合的な分析結果を述べる。変異の頻度が高い遺伝子にはTP53(多形型脂肪肉腫の17%)、NF1(粘液線維肉腫の10.5%と多形型脂肪肉腫の8%)と、PIK3CA(粘液/円形細胞型脂肪肉腫、別名MRCの18%)がある。MRCのPIK3CAの変異はAkt活性化と予後の悪さにつながっている。粘液線維肉腫と多形型脂肪肉腫では、がん抑制遺伝子NF1について点突然変異とゲノム欠失のいずれもが認められた。最後に、脱分化型脂肪肉腫では増幅しているCDK4やYEATS4などいくつかの遺伝子の短いヘアピンRNA(shRNA)によるノックダウンが、細胞増殖を減少させていることを見つけた。我々の研究は多様な肉腫について分子変化の詳細なマップを作り、サブタイプ特異的な治療標的になりうるものを明らかにしようというものである。 Full text PDF 目次へ戻る