Analysis

分配と遺伝子発現:細胞分裂における確率的な分配様式に
由来する遺伝的でない不均一性

Nature Genetics 43, 2 doi: 10.1038/ng.729

遺伝子発現には、タンパク量の若干のばらつきを生じる本質的に確率的な段階がかかわっている。多くの詳細な解析とゲノム規模の検索の結果から、どのようにしてこのようなばらつきが、転写と翻訳の確率的なモデルと合致するように作り出され、広がっていくのかが示唆されている。しかし、ばらつきは、細胞分裂時に2つの娘細胞間で分子が確率的に分配される場合にも生じる。この論文ではどのようにして確率的な分配が、非遺伝的な不均一性に寄与するかを数学的に示す。この結果からは分配の誤りはほとんど修正しがたく、その結果のノイズの状態は遺伝子発現のノイズと全く区別できないことを示す。この結果を通常の実験的な方法に適用し、ノイズの発生と伝播を区別することにより、次のような仮説を提案する。すなわち、細胞間の不均一性の大部分は、遺伝子発現のさまざまな状況によるものではなく、むしろ細胞分裂でのランダムな分配に起因するものである。これらの2種類のばらつきを区別する実験について提案し、将来の方向を検討する。

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