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ゲノム塩基配列決定:エゾヘビイチゴ(Fragaria vesca)のゲノム

Nature Genetics 43, 2 doi: 10.1038/ng.740

エゾヘビイチゴ(Fragaria vesca)は、2倍体(2n=2x=14)の種で、それ自身が有用な実験系となる。この小型の多年生草本は、小さなゲノム(240Mb)を持ち、遺伝的な形質転換を行うことができる。また、栽培種のイチゴ(Fragaria×ananassa)やその他の経済的に重要なバラ科植物とかなりの配列相同性を有している。本論文では、F. vescaの概要ゲノム配列について報告する。本ゲノムは、次世代DNAシーケンサーを用いて39倍のカバー率で配列決定した。これらの塩基配列について、de novo assemble(新規整列)を行った後、7つの偽染色体からなる遺伝子連鎖地図を構築した。この2倍体のイチゴにおける配列には、他のバラ類にみられる大きなゲノム重複が欠けている。また、遺伝子予測モデリングにより34,809の遺伝子を同定した。その大部分は転写産物マッピングによるものである。これにより、香りや栄養的な価値、開花期のような、有益な園芸の形質を決定する遺伝子が同定された。Fragaria属(オランダイチゴ属)とPrunus属(サクラ属)間のマクロシンテニーな関係より、9つの染色体を持つ祖先型のバラ科植物のゲノムの存在が予測される。154のタンパク質をコードする遺伝子による新しい系統解析により、Populus属(ヤマナラシ属)の帰属はFabidae類よりむしろMalvidae類にするのが妥当であることが示唆された。

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