Article エピジェネティクス:エキソームの塩基配列解析によって急性単球性白血病においてDNAメチルトランスフェラーゼ遺伝子DNMT3Aの体細胞変異が同定される 2011年4月1日 Nature Genetics 43, 4 doi: 10.1038/ng.788 エピジェネティックな調節の異常は発がんに関与している。本論文では、急性単球性白血病〔急性骨髄性白血病のM5(AML-M5)に病型分類される〕においてエキソームの塩基配列決定により体細胞変異を同定したので報告する。症例112例のうちの23例(20.5%)において、DNMT3A(DNAメチルトランスフェラーゼ3Aをコードする)に変異を発見した。変異型DNMT3Aはin vitroで酵素活性の低下、すなわちヒストンH3への親和性に異常を示した。特に、DNAメチル化パターン、および(あるいは)遺伝子発現プロファイル(HOXB遺伝子群など)において、DNMT3A変異を持つ試料ともたない試料を比較した場合に変化がみられた。DNMT3A変異のある白血病は、AML-M5患者の中で、疾患発症年齢が高く、予後不良で、単球および前単球が優位型の群を構成していた。他の白血病病型のスクリーニングによって、急性骨髄単球性白血病(AML-M4)症例の13.6%にArg882の変化が示された。我々の研究から、急性単球性白血病の発症機序にDNAメチルトランスフェラーゼ活性の異常が寄与することが示唆され、また、これに関連する症例の有用な新しいバイオマーカーとなりうることが示された。 Full text PDF 目次へ戻る