Letter 白血病:変異型ヌクレオフォスミンとその協調 経路がマウスにおいて白血病の発症と 進行を推進する 2011年5月1日 Nature Genetics 43, 5 doi: 10.1038/ng.796 急性骨髄性白血病(AML)は分子機序がさまざまな悪性腫瘍であるが、そのいずれの場合も予後は不良である。最も多くみられる病型では、ヌクレオフォスミンをコードするNPM1の体細胞変異が特徴としてみられる。これらの変異はNPM1cと呼ばれ、ヌクレオフォスミンの細胞質への転移を引き起こし、特徴的な転写シグネチャーと関連するが、その白血病発症における役割は解明されていない。本論文では、マウスの造血幹細胞でヒト化Npm1cノックイン対立遺伝子を活性化すると、Hox遺伝子の過剰発現、自己複製の亢進および骨髄造血の拡大が引き起こされることを報告する。マウスの3分の1が遅発性AMLを発症したことから、協調する変異が必要であることが示唆される。我々は、このような協調する変異をSleeping Beautyトランスポゾンを用いて同定した。これらの変異は、Npm1cをもつマウスの80%に早発性AMLを引き起こした。早発性AMLのマウス70匹のうちの55匹には、Csf2、Flt3あるいはRasgrp1に挿入がみられたが、これらの挿入が共にみられることはなかった。また、Nf1、Bach2、Dleu2およびNup98を含む、既知および新規に発見された白血病遺伝子に挿入が頻発することも明らかにした。我々の結果は、NPM1c+ AMLの発症機序についての新しい知見であり、また、NPM1c+ AMLの治療標的となる可能性を明らかにするものである。 Full text PDF 目次へ戻る