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黒色腫:黒色腫においてGRIN2Aの変異が高い頻度で起こっていることがエキソーム
塩基配列決定によって明らかになった

Nature Genetics 43, 5 doi: 10.1038/ng.810

黒色腫の発病率は他のがんよりも増えているが、その遺伝的変化についての知識は限られている。その変化を系統的に解析するために、14の正常対照とそれに対応する転移性腫瘍のDNAの全エキソン塩基配列決定を行なった。厳密な基準を用いることにより、高い頻度で体細胞変異が起こっていると考えられる68遺伝子を同定した。これらの多くは腫瘍において遺伝的に変化があることは知られていないものである。最も重要なことは、これまでに同定されていなかったGRIN2Aが黒色腫のサンプル中の33%で変異していたことのみならず、TRRAPが167人の患者のうち6人(4%)において1つの位置(p.Ser722Phe)にクラスターをなして繰り返し出現する変異を持つことを発見したことである。TRRAPに繰り返し起こる変異の性質、パターン、機能的評価からTRRAPががん遺伝子として機能することが示唆される。この研究は、我々の知る限り、これまでの黒色腫の遺伝的変化についての最も包括的な地図を提供するものであり、グルタミン酸シグナル経路がこの病気にかかわっていることが示唆された。

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