Letter 神経発生:Sox2はChd7と協調してヒトの症候群に おいて変異の見られる遺伝子を調節する 2011年6月1日 Nature Genetics 43, 6 doi: 10.1038/ng.825 HMGボックス型転写因子であるSox2は、神経発生の過程を通して役割を担っていること、また、他の発達段階においても機能することがわかっており、さらに、SOX2変異によって引き起こされる無眼球症候群においては、多数の器官が影響を受けることが明らかにされている。本論文では、プロテオミクスおよびゲノミクスのアプローチを組み合わせて用いることで、神経幹細胞においてSox2による遺伝子調節の特徴を明らかにする。CHARGE症候群との関連が見られるATP依存性クロマチンリモデリングタンパク質のChd7が、Sox2の転写コファクターであることが明らかになった。Sox2とChd7は、物理的に相互作用すること、ゲノム全体で結合部位が重なること、およびアラジール症候群、パリスター・ホール症候群、ファインゴールド症候群で変異が見られる遺伝子(それぞれJag1、Gli3、Mycn)を含む一連の共通標的遺伝子を調節することがわかった。これらの症候群では、SOX2無眼球症候群あるいはCHARGE症候群に関連がある奇形も見られる。Sox2-Chd7複合体による疾患関連遺伝子の調節は、SOX2無眼球症候群あるいはCHARGE症候群との関連が見られるいくつかの奇形の説得力のある説明になる。実際に、Chd7ハプロ不全胚の発生中の内耳においてJag1発現が激減していることがわかった。 Full text PDF 目次へ戻る