Article メチル化とがん:さまざまながんのタイプにわたるエピジェネチックなドメインのメチル化多様性の増加 2011年8月1日 Nature Genetics 43, 8 doi: 10.1038/ng.865 腫瘍の多様性はがんの診断や治療における大きな障碍の1つである。我々は最近、大腸がんでがん特異的なDNAメチル化領域(cDMR)を発見したが、これが正常組織のタイプをそれぞれに区別することもできるので、これらのcDMRがいろいろながんのタイプに一般化できるのではないかと考えている。 この研究で我々は同一cDMR上の確率的なメチル化による多様性が、大腸、肺、乳腺、甲状腺のがんやウィルムス腫瘍で正常組織とがんを区別でき、腺腫では中間的な多様性があることを示した。全ゲノムをバイサルファイト(亜硫酸水素塩)処理した方法で塩基配列決定を行うことにより、これらの変化に富んだcDMRが、CpGアイランドにおいて明確に区分されているメチル化の境界区分を失わせることに関与することがわかった。さらに、ゲノムの半分くらいを占めている遺伝子発現の変化の激しい区域では、低メチル化が起こっていることを発見した。cDMRと大きな区域内にある遺伝子群は、それぞれ細胞分裂やマトリックスの再構成にかかわっている。明確なゲノム領域のエピジェネチックな安定性が失われることが、腫瘍のメチル化の多様性を増すことに関係し、それにより腫瘍の異質性がもたらされるというがんのモデルを提案する。 Full text PDF 目次へ戻る