Letter 植物ゲノム:極限性のアブラナ科植物Thellungiella parvulaのゲノム 2011年9月1日 Nature Genetics 43, 9 doi: 10.1038/ng.889 Thellungiella parvulaは、シロイヌナズナに近い植物で、塩分濃度が高かったり、土地のやせた場所に固有に生息している。そのため、植物の極限環境への適応に関する進化についてモデル生物となる植物と考えられる。本報告では、この極限状況で生きる生物の概要ゲノムを示す。私たちは、次世代シーケンサーを用いて、1,496個のギャップのないコンティグから新規に配列の組み立てを行い、ゲノム配列を得た。見積もられたゲノムサイズは140Mbに非常に近いものであった。これらのコンティグはゲノム地図にマッピングすることなしに7つの暫定的な染色体への構築を行ったものである。今回私たちは、真核生物に関して、短い配列リードを用いて、事前の遺伝子情報なしにほぼ完全な形で染色体レベルへの組み立てが行えることを示している。今回の配列には多数の縦列重複が見られ、この重複した遺伝子の性質の中にT. parvulaが極限状態下で生き抜く機構があるだろうことが示唆される。今回の結果は、環境ストレス耐性の進化について、ゲノムレベルでの挙動での検証可能な仮説を立てるための重要な基礎を提供するものである。 Full text PDF 目次へ戻る