Letter 膀胱がんとクロマチン:膀胱移行上皮がんにおいて、クロマチンリモデリングに関わる遺伝子に高い頻度で変異が見られた 2011年9月1日 Nature Genetics 43, 9 doi: 10.1038/ng.907 移行上皮がん(TCC)は、膀胱がんの中でもっともよく見られるタイプである。TCCの患者9人のエキソーム塩基配列決定を行い、発見されたすべての体細胞変異遺伝子を、さらに、異なったステージとグレードの88人のTCC患者の試料を用いてスクリーニングした。本研究で、これまでにTCCで変異があることが知られていない種々の遺伝子に変異があることを発見した。注目すべきは、我々が解析した97人のTCC患者のうち59% にクロマチンリモデリングにかかわる遺伝子(UTX、MLL-MLL3、CREBBP-EP300、NCOR1、ARID1A、CHD6)の遺伝的変化が認められたことである。これらの遺伝子のうち、UTXは、ステージとグレードのより低い腫瘍において、はるかに高い頻度で変化しており、膀胱がんにおける分類と診断において役に立つ可能性があると考えられる。これらの結果はTCCの遺伝学的基礎を俯瞰するものであり、クロマチン制御の異常が膀胱がんの特徴であることを示唆する。 Full text PDF 目次へ戻る