Article
ワタゲノム:2倍体のワタGossypium raimondiiのゲノム概要配列
Nature Genetics 44, 10 doi: 10.1038/ng.2371
Gossypium raimondiiのゲノムの塩基配列決定を行い、ゲノムの概要配列を構築した。この種の祖先は、繊維を生産する経済的に重要な品種Gossypium hirsutumおよびGossypium barbadenseのDゲノムへの寄与があると推測されている。概要配列の73%以上は、G. raimondiiの13本の染色体に乗っている。ゲノム中にはタンパク質をコードする遺伝子が40,976個含まれ、そのうちの92.2%はトランスクリプトームのデータからも存在が確認された。真正双子葉植物に共通する6倍体形成の証拠や、およそ1.3〜2千万年前に起こったワタに特異的な全ゲノム重複の証拠が確認された。G. raimondiiのゲノム中には2,355のシンテニック領域が同定され、およそ40%のパラログ遺伝子が2領域以上に存在することが明らかになった。このことは、このゲノムが進化途上でかなりの染色体再編成を行ってきたことを示唆している。系統学的解析からも明らかであるが、ワタ、そしておそらくカカオTheobroma cacaoは、ゴシポール(種子に含まれる黄色の毒性色素)生合成系の本来のCDN1遺伝子ファミリーがを備わっている植物のうちで、塩基配列決定が行われた唯一の種である。