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子宮内膜腫瘍:漿液性子宮内膜腫瘍のエキソーム塩基配列決定から、頻発性の体細胞変異がクロマチンリモデリングやユビキチンリガーゼ複合体の遺伝子に同定された

Nature Genetics 44, 12 doi: 10.1038/ng.2455

子宮内膜がんは、世界的に、女性 で6番目に多く診断されるがんであり、毎年およそ74,000人がこのがんにより死亡している。漿液性子宮内膜がんは、子宮内膜がんのうち臨床的に侵攻性であるタイプの1つで、その遺伝的要因は明らかにされていない。今回、原発性の漿液性子宮内膜腫瘍13例に対して全エキソーム塩基配列決定を行い、およそ22,000の、タンパク質をコードしている遺伝子に生じている体細胞変異を包括的に探し出した。続いて、新たな漿液性腫瘍40例由来の18の遺伝子の配列を再決定した。これらの遺伝子は腫瘍2例以上において変異が認められたり、機能で分類できる遺伝子であった。その結果、高頻度に見つかる体細胞変異を、CHD4(17%)、EP300(8%)、 ARID1A(6%)、TSPYL2(6%)、FBXW7(29%)、SPOP(8%)、MAP3K4(6%)、ABCC9(6%)において同定した。まとめると、漿液性腫瘍の36.5%ではクロマチンリモデリングの遺伝子、35%ではユビキチンリガーゼ複合体の遺伝子に変異が生じていた。すなわち、子宮内膜がんのうち死亡例の多いタイプの分子レベルの発症機序において、こうした頻発性の突然変異による障害がみられることが示唆された。

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