Letter
バーキットリンパ腫:バーキットリンパ腫の変異の遺伝的眺望
Nature Genetics 44, 12 doi: 10.1038/ng.2468
バーキットリンパ腫はMYCの調節障害によって特徴づけられるが、他の遺伝的変異がこの病気に与える影響についてはほとんど知られていない。今回、バーキットリンパ腫患者の腫瘍と同一人物の生殖細胞系列から得たDNAの全ゲノム塩基配列決定について初めて報告する。さらに、59のバーキットリンパ腫瘍のエキソーム塩基配列決定を行い、94のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のエキソーム塩基配列決定データと比較した。その結果、ID3、GNA13、RET、PIK3R1および、SWI/SNF遺伝子であるARID1AとSMARCA4を含む、70の遺伝子がバーキットリンパ腫で繰り返し変異を起こしていることを見いだした。我々のデータはCCT6B、SALL3、FTCD、PCといった多くの遺伝子が、がんに関与していることを初めて示すものである。ID3変異はバーキットリンパ腫の34%に起こり、DLBCLではみられなかった。また、ID3変異が細胞周期の進行と増殖を促進することを実験的に示した。この研究は、バーキットリンパ腫で共通してみられる遺伝子のコード領域の変異を明らかにし、ID3が新しい腫瘍抑制遺伝子であることを示した。