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メラノーマ:エキソーム塩基配列決定により転移性メラノーマで同定された、MAP3K5およびMAP3K9の頻度の高い体細胞変異

Nature Genetics 44, 2 doi: 10.1038/ng.1041

転移性メラノーマで生じている新たな体細胞変異を同定するため、8種類のメラノーマ細胞株に由来するエキソームの塩基配列を決定した。分裂促進因子活性化タンパク質(MAP)キナーゼキナーゼキナーゼ(MAP3K)ファミリーに着目すると、メラノーマ細胞株の24%において、MAP3K5MAP3K9のどちらかのタンパク質をコードしている領域に変異が見つかった。タンパク質立体構造予測から、キナーゼドメインに変異が生じると、上記のタンパク質キナーゼの活性や調節が影響を受ける可能性が高いことが推定された。見つかった変異がキナーゼドメインに位置していたことと、MAP3K5MAP3K9のヘテロ接合性の喪失(LOH)がそれぞれ85%および67%のメラノーマ細胞株で生じていたことから、この変異が不活性化型である可能性が示唆された。MAP3K5 I780FおよびMAP3K9 W333*変異についてin vitroキナーゼ活性を測定したところ、キナーゼ活性の低下が見られた。さらに、MAP3K5もしくはMAP3K9の変異型をHEK293T細胞で過剰発現すると、MAP3Kより下流のMAPキナーゼのリン酸化レベルが低下した。また、siRNAを用いてメラノーマ細胞のMAP3K9の機能を妨げると、テモゾロマイド処理後の細胞生存率が上昇した。このことから、MAP3K経路の活性の低下が、メラノーマで観察される化学療法剤耐性の原因なのではないかと考えられる。

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