Letter 住血吸虫:ビルハルツ住血吸虫の全ゲノム塩基配列 2012年2月1日 Nature Genetics 44, 2 doi: 10.1038/ng.1065 住血吸虫症は血中の吸虫(Schistosoma属、schistosomes)によって引き起こされるあまり注目されることのない熱帯の感染症で、世界中に2億人のヒトが感染している。ワクチンはまだ開発されておらず、治療はたった1つの薬剤praziquantelに頼っている。ビルハルツ住血吸虫は泌尿器生殖器の病気の主要な原因として、膀胱がんに関連ある因子として、またエイズにかかりやすくする因子として脚光を浴びるようになってきた。寄生虫は淡水のカタツムリから人体に伝染される。吸虫は血管中に住み着き、卵を生み出し、その卵は膀胱壁に定着し、慢性の免疫による病気を引き起こしたり、扁平上皮がんを引き起こしたりする。この論文ではビルハルツ住血吸虫の全ゲノム385Mbについて、イルミナシステムを使った手法で、74倍のカバー率で塩基配列決定を行い、類縁の寄生虫の塩基配列と比較した。ゲノムについて機能、遺伝子の実体、ネットワークと経路のマッピングを行った。このゲノムは今後多くの基礎的な研究分野には想像にあり余るほどの資料として使われ、病気の新しい防御法を考えるうえで大きく貢献するだろう。 Full text PDF 目次へ戻る