Letter RNAエキソソーム:RNAエキソソームの構成要素遺伝子EXOSC3の変異によって橋小脳低形成および脊髄運動ニューロン変性が引き起こされる 2012年6月1日 Nature Genetics 44, 6 doi: 10.1038/ng.2254 RNAエキソソームは進化の過程を通じて保存された複数のサブユニットからなる複合体であり、生存に不可欠なさまざまなコードRNAおよび非コードRNAの基質のプロセシング、監視(サーベイランス)および代謝回転の主要な細胞装置であることが明らかになっている。エキソーム配列決定によって、橋小脳低形成1型(PCH1、MIM 607596)に一致する、幼児期脊髄運動ニューロン障害、小脳萎縮、進行性小頭症および重度の全体的発育遅延の見られる4人の同胞において、EXOSC3(exosome component 3をコードする)の劣性遺伝性変異を見いだした。さらにPCH1の罹患が見られる12家系のうち8家系において、EXOSC3の変異を同定した。ゼブラフィッシュ胚においてモルフォリノによりexosc3をノックダウンすると、 胚の発生異常が引き起こされ、その結果ヒトの臨床的特徴に類似した小さな脳および運動性低下が引き起こされる。また、これらの異常は野生型exosc3 mRNAの同時注入で大部分が回復したが、変異型exosc3 mRNAの同時注入では回復しなかった。これらの知見は、ヒトの疾患に関与するRNAエキソソームのコア構成要素遺伝子の最初の例を示し、またさらに、RNAプロセシングの調節異常が小脳および脊髄運動ニューロンの発生異常や変性に関与することを示している。 Full text PDF 目次へ戻る