Letter 前立腺がん:エキソームの配列決定によって前立腺がんにおいて頻発するSPOP、FOXA1およびMED12の変異が同定される 2012年6月1日 Nature Genetics 44, 6 doi: 10.1038/ng.2279 前立腺がんは、世界的に男性の2番目に多いがんであり、毎年250,000人以上が死亡している。また、進行の遅い前立腺がんの過剰治療も相当な病的状態を引き起こしている。前立腺がんの一般的な遺伝的変化には、NKX3.1(8p21)およびPTEN(10q23)の欠失、AR(アンドロゲン受容体遺伝子)の獲得、およびETSファミリー転写因子遺伝子とアンドロゲン応答性プロモーターとの融合がある。頻発する体細胞塩基対置換は、前立腺腫瘍の形成にはあまり寄与しないと考えられているが、大規模コホートにおける系統的な解析はなされていない。本報告では、前立腺腫瘍と正常組織の112組のエキソームの配列を決定した。 頻発する新規変異が、MED12とFOXA1を含む、多数の遺伝子に同定された。最も変異の頻度が高かった遺伝子はSPOPで、複数の独立したコホートにわたって腫瘍の6〜15%にSPOPの基質結合溝に関与する変異が見られた。SPOPの変異が見られる前立腺がんは、ETSファミリー遺伝子の再構成が見られず、ゲノム変化の異なるパターンを示した。したがって、SPOPの変異は前立腺がんの新しい分子サブタイプの特徴となるかもしれない。 Full text PDF 目次へ戻る