Letter ミトコンドリア:リン脂質の再構成にかかわるSERAC1遺伝子の変異がミトコンドリア機能と細胞内コレステロール輸送を障害し、ジストニーと難聴の原因となる 2012年7月1日 Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2325 リー症候群様症状、酸化的リン酸化の障害、3-メチルグルタコニン酸尿症を伴うジストニーと難聴を示す劣性遺伝疾患であるMEGDEL症候群の原因が、SERAC1遺伝子の変異によることを、エキソーム塩基配列決定を使って同定した。リン脂質の交換に必須であるミトコンドリア付随膜分画にあるミトコンドリアと小胞体の中間面にSERAC1が局在することを示した。患者の繊維芽細胞のリン脂質解析では、ホスファチジルグリセロール-34:1(2つのアシル鎖のC原子対2つのアシルグループの二重鎖の数)の濃度が上昇し、ホスファチジルグリセロール-36:1の濃度が減少しており、カルジオリピンの分子種の構成が変化していた。さらに、ビス(モノアシルグリセロール)リン酸の濃度も下がっており、遊離型コレステロールが蓄積していることが、異常なフィリピン染色によって示された。患者の繊維芽細胞に、正常のヒトSERAC1をレンチウイルスにより導入することにより、ホスファチジルグリセロール-34:1とホスファチジルグリセロール-36:1の比の平均を下げ、部分的に正常化することができた。これらのデータは、ミトコンドリア機能と細胞内コレステロール輸送の両方に必須のホスファチジルグリセロールの再構成において、SERAC1が重要な働きをしていることを示すものである。 Full text PDF 目次へ戻る