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肺がん:AXLキナーゼの活性化は肺がんのEGFR分子標的治療への抵抗性をもたらす

Nature Genetics 44, 8 doi: 10.1038/ng.2330

ヒトの非小細胞肺がん(NSCLC)でEGFRの活性化変異を持つものはエルロチニブのようなEGFRを標的とするチロシンキナーゼ抑制因子(TKI)治療に反応することが多いが、この応答性は腫瘍が抵抗性を獲得するので持続的でない。EGFRの二次的突然変異(T790Mなど)あるいはMETキナーゼの発現の増加が、抵抗性腫瘍の50%以上でみられる。本報では、EGFRのp.Thr790Met変異やMET活性化がないのにエルロチニブに抵抗性を獲得したEGFR変異を持つ肺がんモデル多数(in vitroおよびin vivo)で、AXLの活性増加および上皮間葉転換(EMT)の証拠を報告する。AXLを遺伝的あるいは薬物的に抑制するとこれらの腫瘍モデルでエルロチニブに対する感受性が回復した。AXLの発現増加と、症例によってはそのリガンドであるGAS6の発現増加が、TKIに対する抵抗性を獲得した患者から得たEGFR変異肺がんで見つかった。これらのデータは、AXLが、その抑制によりEGFR変異肺がん患者でEGFR TKIに対する抵抗性の獲得を予防あるいは克服することが期待できる有望な治療標的であることを示している。

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