Letter ヤクゲノム:ヤクのゲノムと高地生活への適応 2012年8月1日 Nature Genetics 44, 8 doi: 10.1038/ng.2343 青海チベット高原およびその近隣地域の高地では、家畜化されたヤク(Bos grunniens)が、食肉をはじめとする生活必需品の供給源となっている。低地に生息する近縁のウシ(Bos taurus)とヤクとを比較することは、動物の高地適応を研究するうえで有益である。今回我々は、雌の家畜ヤクの概要ゲノム配列を、イルミナ社の技術を利用して65倍のカバー率で得た。ヤクとウシとでゲノムを比較した結果、ヤクでは知覚およびエネルギー代謝に関連する遺伝子ファミリーが拡張していることが明らかにされ、細胞外環境および低酸素ストレスの感知に関与するタンパク質ドメインが多いこともわかった。ヤク系統では、正の選択を受けて高速で進化する遺伝子が、低酸素および栄養代謝に関連する機能カテゴリーおよび経路で大幅に多くなっていることも発見された。今回の知見は、ほかの動物種の高地適応の理解およびヒトの低酸素関連疾患に対して重要な意味を持つ可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る