Article

オレンジゲノム:オレンジの概要ゲノム

Nature Genetics 45, 1 doi: 10.1038/ng.2472

オレンジは人間の健康にとって重要な栄養源であり、経済的な価値がきわめて高い。今回我々は、オレンジ(Citrus sinensis)の概要ゲノムを網羅的に解析した。構築した配列は、 推定されるオレンジゲノムの87.3%に達している。オレンジゲノムは、比較的密度が高く、反復配列は20%であった。遺伝子予測では、タンパク質をコードする遺伝子は29,445個で、その半分はヘテロ接合であった。さらに2種類のカンキツ属の果実の塩基配列決定および7つのカンキツゲノムの比較解析を行った結果、オレンジが、ザボンとマンダリンとの戻し交雑雑種に由来することを示唆する証拠が得られた。ビタミンC代謝に関与する遺伝子に着目した解析により、オレンジ果実ではガラクツロン酸経路の律速酵素をコードするGalURが大幅に上方制御されていることがわかり、この遺伝子ファミリーの最近の拡大がゲノムの基盤をもたらしたと考えられる。今回の概要ゲノムは、重要なカンキツ属の形質を多数解明および改良していくための有用な資源となるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度