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カルシウムのホメオスタシス:AP2S1の変異は家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症3型を引き起こす

Nature Genetics 45, 1 doi: 10.1038/ng.2492

アダプタータンパク質2(AP2)はクラスリン被覆小胞(CCV)の重要な構成因子の1つであり、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のような膜構成タンパク質を細胞内に取り込むクラスリン介在性エンドサイトーシスにおいてきわめて重要な役割を果たす。AP2はα、β、μ、σの4つのサブユニットからなるヘテロ4量体タンパク質で、クラスリンを小胞膜へと動員し、膜結合型カーゴ(積み荷)タンパク質のチロシンモチーフおよびジロイシンモチーフに結合する。本論文では、AP2とCCVカーゴタンパク質のジロイシンモチーフとの密な結合を可能にしているのはAP2σサブユニット(AP2S1)の15番Arg(アルギニン)であり、このアミノ酸残基に変化を生じさせるミスセンス変異が、家族性低カルシウム尿高カルシウム血症3型(FHH3)を引き起こすことを明らかにした。FHH3は、細胞外カルシウムのホメオスタシス(恒常性)が失われる病態の1つで、副甲状腺、腎臓、骨に異常をきたす。FHH患者のうちFHH1の発症要因とされるカルシウム感知GPCR(CASR)の変異が検出されない患者の20%以上において、AP2S1に変異が生じていることが明らかになった。AP2S1変異によって、CaSR発現細胞の細胞外カルシウムに対する感知能は低下し、CaSRエンドサイトーシスの減少がみられた。これはおそらく、CaSRのC末端に存在するジロイシンモチーフとの相互作用が喪失したためと考えられる。この相互作用の喪失は同時に、細胞内シグナル伝達を減少させていた。このように今回の研究成果は、細胞外カルシウムのホメオスタシスにおけるAP2の役割を新たに明らかにするものである。

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