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オートファジー:EPG5の劣性変異は、オートファジー不全をともなう多系統疾患であるVici症候群を引き起こす
Nature Genetics 45, 1 doi: 10.1038/ng.2497
Vici症候群は、劣性遺伝性の多系統疾患で、脳梁形成不全、白内障、心筋症、複合免疫不全、色素沈着低下を特徴とする。Vici症候群の分子基盤を調べるために、18人の罹患者からなるコホートにおいて、エキソーム配列およびサンガー法による配列の解析を行った。EPG5(これまではKIAA1632とされていた)に複数の劣性変異が同定され、Vici症候群の原因となる役割が明らかになった。EPG5は、後生動物特異的なオートファジー遺伝子epg-5(オートリソソームの形成に関与する主要なオートファジー調節因子であるectopic P-granules autophagy protein 5をコードする)のヒトホモログである。さらなる研究から、変異EPG5を持つ人の筋肉および繊維芽細胞ではオートファゴソームの除去が大きく阻害され、オートファゴソームにオートファジーを受ける積荷分子の蓄積が引き起こされたことがわかった。これらの知見は、Vici症候群をオートファジー不全に関連するヒトの多系統疾患であるという考え方を支持するものであり、また、免疫系および、脳や心臓のような臓器の解剖学的および機能的な形成におけるオートファジー経路の基本的な役割を示唆している。