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骨髄腫:骨髄腫で高頻度に見つかるコヒーシン複合体構成タンパク質の変異
Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2731
コヒーシンは複数のタンパク質から構成される複合体で、姉妹染色分体の接着、複製後DNA修復、転写調節に関与している。本論文では、さまざまな骨髄腫において、STAG2、RAD21、SMC1A、SMC3をはじめとするコヒーシン複合体の複数の構成要素に高頻度で認められる変異と欠失について報告する。このような変異および欠失は大部分が相互排他的であり、急性骨髄性白血病の12.1%(19/157)、骨髄異形成症候群の8.0%(18/224)、慢性骨髄単球性白血病の10.2%(9/88)、慢性骨髄性白血病の6.3%(4/64)、古典的骨髄増殖性腫瘍の1.3%(1/77)に認められた。コヒーシンに変異を生じた白血病細胞においては、クロマチン結合型のコヒーシン構成タンパク質の量が減少していた。このことはこれらの細胞で、クロマチン上のコヒーシン結合部位が相当程度損なわれていることを示唆している。RAD21に変異がある(Kasumi-1細胞)ないし、RAD21およびSTAG2の発現量の大幅な低下を認める(MOLM-13)白血病細胞株の増殖はそれぞれ、野生型RAD21の強制発現、野生型RAD21ないしSTAG2の強制発現によって抑制された。今回得られた知見から、コヒーシン機能の低下が骨髄性白血病の発症にかかわっている可能性が示唆された。