Commentary
全がん解析:がんゲノムアトラス全がん解析プロジェクト
Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2764
がんゲノムアトラス(TCGA)研究ネットワークは多数のヒト腫瘍についてプロファイリングおよび解析を行い、DNA、RNA、タンパク質、エピジェネティックな修飾といった分子レベルの異常を見つけ出した。結果として得られた豊富なデータは、さまざまな種類のがん細胞における分子異常の共通点、相違点、そしてがん細胞の系譜という新たな観点の問題に対する包括的な解釈の機会をもたらした。全がん解析イニシアチブは、TCGAによってプロファイリングされた最初の12種類のがんを対象に比較解析を行った。多数のがんで見つかる分子異常およびその機能上の役割を解析することで、特定の種類のがんで有効な治療法を、ゲノム特性が類似したそれ以外の種類のがんに拡大適用する方法が導かれると期待できる。