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ダウン症候群:ダウン症候群関連骨髄性疾患における体細胞変異の全体像
Nature Genetics 45, 11 doi: 10.1038/ng.2759
一過性異常骨髄増殖症(TAM)は、急性巨核芽球性白血病(AMKL)に類似した骨髄増殖症で、そのほとんどはダウン症候群の新生児に発症する。TAM症例の大部分は自然消退するが、一部の症例は、その後に、自然寛解することのないAMKL(DS-AMKL)に進行する。このようなダウン症候群関連骨髄性疾患の発症機序は、大部分の症例に見いだされるGATA1変異を除いて、ほとんど解明されていない。本論文では、15例のTAM症例と14例のDS-AMKL症例の全ゲノムおよび/あるいは全エキソーム塩基配列決定を含む、41例のTAM症例、49例のDS-AMKL症例および19例のnon-DS-AMKL(非ダウン症候群患児に合併するAMKL)症例のゲノムプロファイリングを報告する。TAMは、単一のGATA1変異と胚細胞系列に由来する21番染色体のトリソミーによって引き起こされ、その後、既存のTAMクローンがさらなる変異の獲得によりAMKLに進展する。これらの変異の主要な標的には、複数のコヒーシン構成要素(53%)、CTCF(20%)、EZH2やKANSL1などのエピゲノムの調節因子(45%)、およびJAKファミリーキナーゼ、MPL、SH2B3(LNK)、複数のRAS経路遺伝子などの一般的なシグナル伝達経路(47%)が含まれる。