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脂質:脂質レベルと関連する座位の発見およびその精度の向上

Nature Genetics 45, 11 doi: 10.1038/ng.2797

低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール、中性脂肪、全コレステロールの値は遺伝し、冠動脈疾患のリスク因子を修飾するものである。これらの脂質に影響する新規の座位の同定、および既知の座位の精度向上をめざして、188,577人を対象に、ゲノムワイドならびにカスタム遺伝子タイピングアレイで解析した。P < 5×10−8で脂質レベルと関連する157個の座位を同定し、アノテーションを行った。そのうち、ヒトの脂質レベルとの関連がこれまで報告されていない座位は62個に上った。ヨーロッパ、東アジア、南アジアならびにアフリカ祖先の人を詳細に遺伝子型判定することにより、関連するシグナルを12座位に絞り込んだ。血中脂質レベルと関連する座位は、冠動脈疾患、2型糖尿病、血圧、ウエスト・ヒップ比ならびに、ボディマス指数などの心血管系およびメタボリック症状としばしば関連していた。これらの結果は異なった祖先の個人から得た遺伝データを使うことの意義を示しており、血中脂質を調節する生物学的機序に対する洞察を与え、将来の遺伝的、生物学的、治療的な研究を示唆するものである。

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