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乳がん:ホルモン療法抵抗性の転移性乳がんにおけるESR1の活性化変異
Nature Genetics 45, 12 doi: 10.1038/ng.2823
乳がんは女性の最も一般的ながんであり、症例の2/3以上がエストロゲン受容体α(ER-α、ESR1によってコードされる)を発現している。我々は、進行がんのための前向き臨床的配列解読プログラムに、ER陽性転移乳がんの患者11人を登録した。全エキソームおよびトランスクリプトームの解析から、6症例に、ESR1のリガンド結合ドメイン(LBD)に影響を与える変異があることが示された。これらの症例全てが抗エストロゲン療法およびエストロゲン枯渇療法による治療を受けていた。がんゲノムアトラス(TCGA)の調査から、4例の子宮内膜がんにESR1の同様の変異があることが明らかになった。ESR1のLBDに位置する、今回同定された5個の新規変異(p.Leu536Gln、p.Tyr537Ser、p.Tyr537Cys、p.Tyr537Asn、p.Asp538Glyをコードする)は、in vitroにおいて、ER-αの構成的活性化を引き起こすこと、および抗エストロゲン療法への反応性を維持していることが示された。まとめると、これらの研究は、ESR1の活性化変異が、乳がん治療において内分泌療法抵抗性を獲得する主要な機構であること示唆している。