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ミトコンドリア病:MGME1の機能喪失性変異はmtDNAの複製を障害し多岐にわたるミトコンドリア病の原因となる
Nature Genetics 45, 2 doi: 10.1038/ng.2501
これまでに知られているミトコンドリアDNA(mtDNA)の維持障害の機序は、ミトコンドリアの複製機構(POLG、POLG2、C10orf2)または、mtDNA合成にかかわるデオキシリボ核酸5′-3リン酸の生合成経路を変化させるものである。しかし、これらの疾患の多くにおいて、まだ原因遺伝子は同定されていない。今回、外眼筋麻痺、羸痩(るいそう)、呼吸障害を特徴とするミトコンドリア病の3家系において、オーファン遺伝子であるC20orf72のナンセンスおよびミスセンス変異のホモ接合体を同定した。筋生検ではmtDNAの欠失あるいは多種類のmtDNA欠失が認められた。ここでは以下MGNE1(ミトコンドリアゲノム維持エキソヌクレアーゼ1)とするC20orf72は、PD-(D/E)XKヌクレアーゼスーパーファミリーに属するミトコンドリアRecB型エキソヌクレアーゼをコードする。MGME1は、一本鎖DNAとフラップDNA基質を切断することがわかった。罹患者の線維芽細胞は、化学的にmtDNA欠失を誘導しても再増殖しない。また、これらの細胞ではMGME1欠失細胞と同様に、停止した複製フォークの中間体が蓄積し7SDNAの量が増加する。このように、MGME1によるmtDNAプロセシングはミトコンドリアゲノム維持に必須であることがわかった。