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繊毛:ネキシン-ダイニン調節複合体のサブユニットDRC1は藻類やヒトの運動繊毛の機能に不可欠である
Nature Genetics 45, 3 doi: 10.1038/ng.2533
原発性繊毛(線毛)運動不全症(PCD)は、気道の繊毛や精子の鞭毛の機能不全、内臓の左右非対称性配置の異常を特徴とする。ネキシン-ダイニン調節タンパク質複合体(N-DRC)のDRC1サブニットは、ダイニンモーターの調節に必須の軸糸構造の1つである。本論文では、DRC1サブユニットを同定し、DRC1をコードしている遺伝子CCDC164に生じた変異がPCDの発症原因に関係していることを見つけた。DRC1を破壊した機能喪失変異では、コナミドリムシChlamydomonas reinhardtiiにおいてもヒトにおいても、N-DRC構造のアセンブリが著しく損なわれ、また繊毛運動に異常が生じた。今回の研究成果は、繊毛の波打ち運動の調節において、N-DRCが完全な状態にあることの重要性に焦点をあてるものであり、DRC遺伝子の変異がヒトの疾患を引き起こすことを提示する最初の直接的な証拠となる。