Letter 小頭症–毛細血管異形成:脱ユビキチン化酵素をコードしているSTAMBPの変異は小頭症–毛細血管異形成症候群を発症させる 2013年5月1日 Nature Genetics 45, 5 doi: 10.1038/ng.2602 小頭症–毛細血管異形成(MIC–CAP:Microcephaly–capillary malformation)症候群は、進行性皮質萎縮、難治性てんかん、最重度の発達遅延を伴う重篤な小頭症と、皮膚における多発性小域性毛細血管異形成を特徴とする。MIC–CAP症候群患者5人の全エキソーム塩基配列決定を行い、脱ユビキチン化酵素(DUB)の1つであるSTAMBPをコードするSTAMBPに劣性遺伝性変異を同定した。STAMBP〔STAM結合タンパク質、AMSH(STAM SH3ドメイン結合分子)ともいう〕は、ユビキチン化タンパク質のイソペプチド結合切断酵素で、細胞表面受容体が仲介するエンドサイトーシスならびにソーティングにおいて重要な役割を果たしている。患者由来の細胞株では、STAMBP発現の減少と同時に、ユビキチン結合型凝集タンパク質量の増大、アポトーシスの亢進、RAS-MAPKおよびPI3K-AKT-mTOR経路のリガンド非応答性活性化が認められた。患者細胞株におけるこれらのシグナル伝達経路の活性化は、両経路が、周知のように相互に関連しており、血管系および毛細血管の異形成に関与していることを考えると、注目すべきことである。さらに、エンドサイトーシスで働くDUBタンパク質の機能不全によってヒトの先天性疾患が引き起こされるという今回の知見は、ユビキチン結合によるタンパク質凝集やアポトーシスの亢進が、MIC–CAP症候群の原因となる進行性の神経細胞消失に影響しうる素因であることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る